東京大学物性研究所 赤松克哉特任研究員(研究当時:大学院理学系研究科博士後期課程)、同 川島直輝教授、京都大学大学院情報学研究科 原田健自助教、東京大学大学院理学系研究科 大久保毅特任准教授の共同研究チームは、生成モデリングの代替パラダイムとして、対象確率分布をモデル化する単層非負値適応テンソルツリー(NATT)の構造最適化スキームを提案した。NATTスキームは、テンソルツリー形式で表現できる確率分布関数のうち、与えられたサンプルの集合に最も適合するものを求めるためのものである。個々のサンプルは多数の確率変数(特徴量)の観測値のリストであり、たとえば画像認識の問題であれば、一枚の画像が一つのサンプルに相当する。一般の生成モデルと同様に、NATTにおいても「もっともらしい」サンプルを新たに生成することが可能である。しかし、本研究で注目したのは、得られたテンソルツリーの構造が、対象となるデータセットの情報論的な構造を反映したものになるという点であり、これを利用して、確率変数間の因果 関係などを推定することができる。本研究では、ツリー自体が確率分布関数を表すように設計されているため、ネットワークは局所的にも各変数間の確率的関係を与えるものとなっている。本研究で提案しているテンソルツリーの構造最適化に基づく生成モデル構築のスキームは、社会のさまざまな面に応用されつつある人工知能や機械学習のベースになる生成モデリングの枠組みとして、現在主流になっているものとは大きく異なる方法となっており、特に多数の要因が複雑に絡み合っているような因果関係の解明などへの応用が期待される。本成果は、2026年1月21日に「Machine Learning: Science and Technology」にて公開されました。詳しくはプレスリリース本文をご覧ください。東京大学大学院理学系研究科東京大学物性研究所